ステーブルコインとは?USDT・USDC・DAIの違いとリスクを解説
- ステーブルコインは米ドルや日本円に価格が連動する暗号資産。市場全体の時価総額は約3,100億ドル超
- 主要銘柄USDT・USDC・DAIの違いと、用途に応じた選び方がわかる
- Terra/LUNA崩壊(500億ドル消失)の教訓から、担保型と無担保型のリスク差を理解することが重要
「暗号資産は値動きが激しくて怖い」——そう感じている人は多いと思います。ビットコインが1日で10%以上動くことも珍しくなく、投資初心者にとってはハードルが高い世界に見えるかもしれません。
しかし、暗号資産の中には価格が安定するよう設計されたものがあります。それが「ステーブルコイン」です。米ドルに連動して1コイン=約1ドルを維持するものが主流で、暗号資産の便利さ(送金の速さ・低コスト・24時間取引)を活かしつつ、価格変動のストレスを大幅に軽減できます。
この記事では、ステーブルコインの仕組み・種類・メリット・リスクを初心者向けにやさしく解説。USDT・USDC・DAIなど主要銘柄の違いや、レンディングで年率8〜10%の貸借料を得られる活用法、そして過去の崩壊事件から学ぶべき教訓まで、まるごとお伝えします。
- ステーブルコインの仕組みと4つの種類の違いがわかる
- USDT・USDC・DAIなど主要銘柄の特徴と選び方がわかる
- レンディングや決済など、実際の活用方法がわかる
暗号資産は価格変動リスクがあり、元本を失う可能性があります。ステーブルコインも発行体リスクやペッグ崩壊リスクがゼロではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
ステーブルコインとは?

普通の暗号資産と何が違うのか
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、需要と供給によって価格が大きく変動します。1日で10〜20%動くことも珍しくなく、「朝起きたら資産が減っていた」という経験をした人も少なくないはずです。
一方、ステーブルコインは特定の資産(米ドル・日本円・金など)に価格を連動させる仕組みを持っています。たとえば米ドル連動型のUSDTやUSDCは、1コイン=約1ドルを維持するよう設計されており、ビットコインのような激しい値動きがありません。
- ビットコイン:需要と供給で価格が変動。1日で10%以上動くこともある
- ステーブルコイン:米ドル等に連動。1コイン≒1ドルで安定
なぜ「安定」が重要なのか
「価格が安定しているなら、投資で儲からないのでは?」と思うかもしれません。しかし、ステーブルコインの価値は「値上がりで儲ける」ことではなく、暗号資産の利便性を活かしつつ、価格変動リスクを避けられる点にあります。
たとえば、暗号資産で国際送金をしたいとき。ビットコインで送ると、送金中に価格が変動して受取額が変わってしまうリスクがあります。USDCで送れば、送金中も1コイン≒1ドルのままなので、相手に届く金額が安定します。
また、暗号資産を レンディング 用語解説 暗号資産を第三者に貸し出して、利息(貸借料)を受け取るサービス。消費貸借契約の一種。 に回す場合も、ステーブルコインなら「貸している間に暗号資産の価格が暴落した」というリスクを抑えながら、年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスもあります。
- ステーブルコイン=価格が安定するよう設計された暗号資産
- 米ドル連動型が主流で、1コイン≒1ドルを維持
- 値上がり益ではなく「安定した価格のまま暗号資産の利便性を使える」のが価値
ステーブルコインの種類

ステーブルコインは「どうやって価格を安定させるか」によって、大きく4つの種類に分かれます。
法定通貨担保型(USDT・USDCなど)
発行されたコインと同額の準備金(米ドル等)を企業が保管する、最もシンプルで最も広く使われている方式。
たとえば、100億ドル分のUSDCが発行されているなら、発行元のCircle社が100億ドル相当の資産(現金・米国債など)を保有している、という仕組みです。ユーザーがUSDCを換金したいときは、Circle社がその準備金から1コイン=1ドルで買い戻します。
代表的な銘柄はUSDT(テザー)とUSDC(USDコイン)。この2つだけで、ステーブルコイン市場全体の80%以上を占めています。
暗号資産担保型(DAIなど)
米ドルの代わりに、イーサリアムなどの暗号資産を担保にして発行される方式。特定の企業が管理するのではなく、 スマートコントラクト 用語解説 ブロックチェーン上で動く自動実行プログラム。あらかじめ決めた条件を満たすと、人間を介さずに自動で取引を実行する。 というプログラムが自動で管理します。
代表的なのがDAI。ユーザーがETHなどの暗号資産を担保として預けると、その価値の一定割合までDAIを発行できます。担保の価値が下がると自動的に清算される仕組みで、特定の企業に依存しない「分散型」のステーブルコインとして支持されています。
ただし、担保となる暗号資産自体の価格変動リスクがあるため、通常は担保価値の150%以上を預ける必要がある点に注意が必要です。
アルゴリズム型(無担保型)— Terra/LUNA崩壊の教訓
準備金や担保を持たず、アルゴリズム(プログラム)だけで価格を安定させようとする方式。需要が増えると新しいコインを発行し、需要が減ると流通量を減らすことで、価格を一定に保とうとします。
しかし、この方式には致命的な弱点があることが証明されました。
アルゴリズム型ステーブルコイン「UST」とそれを支えるLUNAが崩壊。エコシステム全体で約500億ドル(約7.5兆円)が消失。LUNAは3日間で約120ドルからほぼゼロに暴落した。
USTは「1ドルを維持する」はずでしたが、大量の売りが発生した際にアルゴリズムが対応しきれず、ペッグ(ドルとの連動)が崩壊。USTの価値が下がる → 支えるLUNAも暴落 → さらにUSTが売られる、という負の連鎖が止まらなくなりました。
この事件は「担保のないステーブルコインは、信頼が失われた瞬間に一気に崩壊する」という教訓を残しました。現在、アルゴリズム型は大幅に信頼を失っており、新規投資には高いリスクが伴います。
コモディティ型(金連動など)
金や原油などの現物資産(コモディティ)を担保にして発行される方式。代表的なのはXAUT(テザーゴールド)で、1トークン=金1トロイオンスの価値に連動します。
金は長期的に価値が安定している資産とされるため、「デジタルゴールド」としての需要がありますが、市場規模はまだ小さく、法定通貨担保型と比べると流通量は限定的です。
- 法定通貨担保型(USDT・USDC):準備金で裏付け。最も普及している
- 暗号資産担保型(DAI):スマートコントラクトで自動管理。分散型
- アルゴリズム型:担保なし。Terra/LUNA崩壊で信頼を大きく失った
- コモディティ型(XAUT等):金などの現物で裏付け。市場規模は小さい
主要ステーブルコイン比較

USDT(テザー)
ステーブルコイン時価総額1位。Tether社(イギリス領ヴァージン諸島)が発行し、暗号資産市場で最も広く使われているステーブルコインです。
- 時価総額:約1,840億ドル(ステーブルコイン全体の約60%)
- 対応チェーン:Ethereum、Tron、Solana、Avalanche等、15以上のブロックチェーンに対応
- 準備金:約82%が米国債。四半期ごとにBDO社による準備金レポートを公表
世界中の取引所で基軸通貨のように使われており、流動性(売りたいときにすぐ売れる度合い)が最も高い点が最大の強み。
ただし、過去に準備金の透明性について疑問が呈されたことがあり、Big 4(世界4大会計事務所)による完全な監査(フルオーディット)は行われていません。四半期ごとの アテステーション 用語解説 外部の監査法人が特定時点の財務データ(準備金残高等)を検証し報告書を発行する手続き。フルオーディット(包括的監査)とは範囲・深度が異なる。 (BDO社が検証)は公表されていますが、包括的な監査とは異なる点は把握しておくべきです。S&P社はUSDTの安定性を「弱い」と評価しています。
USDC(USDコイン)
ステーブルコイン時価総額2位。米国のフィンテック企業Circle社が発行。規制準拠と透明性に最も力を入れているステーブルコインです。
- 時価総額:約770億ドル(前年比73%成長でUSDTより速いペースで拡大中)
- 対応チェーン:Ethereum、Solana、Base、Arbitrum、Optimism等
- 準備金:米国債と現金で100%裏付け。BlackRock運用のSEC登録マネーマーケットファンドで管理。Deloitte(Big 4)による月次アテステーションを公表
USDTとの最大の違いは透明性。Circle社はDeloitte(世界4大会計事務所の1つ)による月次検証に加え、毎週の準備金開示も行っています。EUの MiCA 用語解説 Markets in Crypto-Assets Regulation。EUが2024年に施行した暗号資産市場の包括的規制。ステーブルコイン発行者に準備金・透明性・ガバナンスの厳格な要件を課す。 規制にも準拠済み。2025年の取引高ではUSDT(13.3兆ドル)を逆転し、USDCが18.3兆ドルでトップに立ちました。
一方、USDTに比べると時価総額はまだ半分以下で、特に新興国でのP2P送金ではUSDTが依然として主流です。
DAI(ダイ)
分散型のステーブルコイン。MakerDAO(現Sky Protocol)というプロトコルが管理しており、特定の企業が発行・管理していません。
- 時価総額:約54億ドル(USDSへの移行が進行中)
- 担保方式:ETH・USDC等の暗号資産を過剰担保(150%以上)で預けて発行
- 特徴:中央管理者がいない。プログラムが自動で担保管理と清算を実行
「特定の企業が倒産するリスク」がない点が最大のメリット。一方で仕組みが複雑で、担保の暴落時には清算が発生するリスクがあります。日本国内ではCoincheck、bitbank、bitFlyerなどで取り扱いがあり、 DeFi 用語解説 Decentralized Finance(分散型金融)。ブロックチェーン上でスマートコントラクトを使い、銀行などの仲介者なしに融資・取引・運用を行う金融の仕組み。 (分散型金融)の領域でも広く活用されています。
JPYC(日本円連動)
日本円に連動するステーブルコイン。JPYC株式会社が発行し、2025年10月27日に日本初の規制準拠ステーブルコインとしてサービスを開始しました。
- 連動通貨:日本円(1 JPYC ≒ 1円)
- 法的位置づけ:改正資金決済法に基づく「電子決済手段」。金融庁に資金移動業者として登録済み
- 累計発行額:13億円超(2026年1月末時点)。口座開設数13,000件超
- 準備金:80%が日本国債、20%が現金預金
海外のUSDT・USDCとは異なり、日本の法律に基づいて発行されているため、国内での利用において法的な安心感があります。2026年3月にはシリーズB1で17.8億円の資金調達を完了し、3年以内に流通残高10兆円を目標に掲げるなど、急速に成長中です。
USDT vs USDC — どっちを選ぶべき?
「ステーブルコインを持ちたいけど、USDTとUSDCのどっちがいいの?」という疑問は多くの人が持つはず。以下の比較表で整理します。
| 項目 | USDT(テザー) | USDC(USDコイン) |
|---|---|---|
| 時価総額 | 約1,840億ドル(1位) | 約770億ドル(2位) |
| 発行元 | Tether社(英領ヴァージン諸島) | Circle社(米国) |
| 準備金の透明性 | 四半期レポート公表(BDO社)。Big 4監査は未実施 | 月次アテステーション(Deloitte)+週次開示 |
| 規制準拠 | EU MiCA未準拠 | EU MiCA準拠。米国GENIUS Act対応 |
| 流動性 | 時価総額最大。新興国P2P送金で圧倒的 | 2025年取引高でUSDTを逆転(18.3兆ドル) |
| 対応チェーン | 15以上(Ethereum、Tron、Solana等) | Ethereum、Solana、Base、Arbitrum等 |
| 日本の取引所 | SBI VCトレード等で取扱い | SBI VCトレード等で取扱い |
流動性を重視するならUSDT、透明性・規制準拠を重視するならUSDCが向いています。どちらも法定通貨担保型で仕組みは同じですが、発行元の姿勢と対応状況に違いがあります。レンディングではどちらも年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスがあります。
ステーブルコインのメリット

価格が安定している
1コイン≒1ドルを維持する設計で、ビットコインのような急騰・急落のストレスがない。
最大のメリットは言うまでもなく価格の安定性。ビットコインが1日で10%動く世界で、ステーブルコインは1コイン≒1ドル前後を維持します。
「暗号資産を持ちたいけど値動きが怖い」という人にとって、ステーブルコインはブロックチェーンの世界への入口として最適な選択肢です。
国際送金が速くて安い
数分〜数十分で世界中に送金でき、手数料も数百円程度に抑えられる。
従来の銀行送金では、海外への送金に数日かかり、手数料も数千円かかることが一般的。ステーブルコインを使えば、数分〜数十分で世界中に送金でき、手数料も数百円程度に抑えられます。
| 方法 | 所要時間 | 手数料目安 |
|---|---|---|
| 銀行の海外送金 | 2〜5営業日 | 3,000〜7,000円 |
| ステーブルコイン送金 | 数分〜数十分 | 数百円程度 |
特にフリーランスや海外取引のある事業者にとって、コスト削減効果は大きいと言えます。
暗号資産の値動きリスクを避けられる
相場が不安定なときの「一時的な避難先」として、暗号資産の世界にとどまりつつ価値を保全できる。
暗号資産トレーダーにとって、ステーブルコインは「一時的な避難先」としての価値があります。
たとえば、ビットコインが急騰して利益が出たとき。利益を確定したいけど、日本円に換えると税金がかかる場合があります。そこで一旦ステーブルコインに交換しておけば、暗号資産の世界にとどまりつつ、価格変動リスクを回避できます。
※暗号資産同士の交換(BTC→USDT等)でも、利益が生じた場合は課税対象になります。税務上の取扱いについては暗号資産(仮想通貨・ビットコイン)の税金はいくら?計算方法・確定申告・節税を解説も参考にしてください。
レンディングで高利回りの運用ができる
価格変動リスクを抑えつつ、年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスがある。
ステーブルコインの注目すべき活用法が、レンディング(暗号資産を貸して利息を得るサービス)での運用。価格が安定しているステーブルコインなら、「貸している間に暗号資産の価格が暴落した」というリスクを抑えつつ、年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスがあります。
| サービス | USDT年率 | USDC年率 | DAI年率 |
|---|---|---|---|
| BitLending | 10% | 10% | 10% |
| PBRレンディング | 10〜12% | 10〜12% | — |
| SBI VCトレード | — | 10%(記念) | — |
※年率は2026年4月時点の情報です。最新の条件は各サービスの公式サイトでご確認ください。
ただし、レンディングは預金保険の対象外であり、サービス提供者の破綻リスクがある点は理解しておく必要があります。利回りが高い分、元本毀損のリスクも伴うため、余裕資金の範囲で検討することが重要です。
※暗号資産のレンディングは預金保険の対象外であり、サービス提供者の経営状況や返還条件を事前に確認した上でご利用ください。
ステーブルコインのリスク・注意点

「安定している」とはいえ、ステーブルコインにもリスクは存在します。過去の事件を踏まえて、知っておくべきリスクを整理します。
ペッグ崩壊 — Terra/LUNA事件の教訓
担保なしのアルゴリズム型は、信頼が崩れた瞬間に一気に価値がゼロになるリスクがある。
2022年5月、アルゴリズム型ステーブルコインUST(TerraUSD)のペッグ(ドルとの連動)が崩壊しました。
USTは担保なしでアルゴリズムだけで1ドルを維持していた。大量の売りが発生した際にアルゴリズムが対応しきれず、USTの価値が急落。支えるLUNAも連鎖的に暴落し、3日間で約120ドルからほぼゼロに。エコシステム全体で約500億ドル(約7.5兆円)が消失した。
この事件から学べる教訓は明確です。「担保のないステーブルコインは、信頼が失われた瞬間に崩壊するリスクがある」ということ。
現在主流のUSDT・USDC・DAIはいずれも担保を持つ方式であり、アルゴリズム型とはリスクの性質が異なります。ただし、「ステーブルコイン=安全」と過信するのではなく、どの種類のステーブルコインなのかを確認することが重要です。
発行元の信頼性リスク
準備金の透明性と監査体制が発行元によって大きく異なる。USDTとUSDCでは開示レベルに差がある。
法定通貨担保型(USDT・USDC等)では、発行元の企業が本当に十分な準備金を持っているかが信頼の根幹。
USDTの発行元Tether社は、過去にニューヨーク州司法長官との間で準備金の透明性に関する問題があり、1,850万ドルの和解金を支払った経緯があります。現在は四半期ごとに準備金の内訳を公表していますが、独立した監査法人によるフルオーディットはまだ実施されていません。
- USDT:四半期ごとのアテステーション公表(BDO社)。Big 4監査は未実施。S&P評価は「弱い」
- USDC:毎月のアテステーション(Deloitte)+週次開示。透明性で一歩リード
規制変更リスク
日本・米国・EUで法整備が急速に進行中。既存のステーブルコインが新規制に適合できないリスクがある。
ステーブルコインは各国で急速に規制が整備されている段階にあり、将来的にルールが変わる可能性があります。
- 日本:2023年の改正資金決済法で「電子決済手段」として位置づけ。JPYCが初の承認を取得
- 米国:ステーブルコイン規制法案が進行中。発行者に準備金の開示義務を求める方向
- EU:MiCA(暗号資産市場規制)が施行済み。ステーブルコイン発行者に厳格な要件
規制の強化はユーザー保護の観点ではプラスですが、既存のステーブルコインが新しい規制に適合できない場合、取引が制限される可能性もあります。
ハッキング・スマートコントラクトリスク
過去に数百億円規模のハッキング被害がDeFi領域で複数発生している。
特にDAIのような暗号資産担保型は、スマートコントラクトで管理されているため、プログラムのバグを突かれるリスクがゼロではありません。
過去にDeFi領域ではスマートコントラクトの脆弱性を突いた大規模なハッキングが複数発生しており(Wormhole事件で約480億円、Poly Network事件で約900億円など)、技術リスクは認識しておく必要があります。
- アルゴリズム型のTerra/LUNA崩壊で約500億ドルが消失した教訓がある
- 法定通貨担保型でも発行元の準備金透明性にリスクが残る
- 各国の規制整備が進行中で、ルール変更の可能性がある
- ステーブルコインを選ぶときは「種類」と「発行元の信頼性」を必ず確認する
ステーブルコインの使い道

暗号資産トレードの避難先
相場急変時にステーブルコインへ一時退避して、価値を保全しつつ次のチャンスを待てる。
暗号資産の取引で最も一般的な使い方。相場が不安定なとき、一旦ステーブルコインに交換して価値を保全し、相場が落ち着いたら買い戻す——という「避難先」としての役割です。
24時間365日取引できる暗号資産市場では、寝ている間の急落リスクもあります。就寝前にポジションをステーブルコインに移しておくのも、リスク管理の一つの手法です。
国際送金・海外決済
海外送金の手数料を数千円→数百円に削減でき、到着も数分で完了。
先述の通り、従来の銀行送金と比較して圧倒的に速く、安いのがステーブルコイン送金の強み。海外のフリーランスへの支払い、海外事業者との取引決済、留学先への仕送りなど、実用的なユースケースが広がっています。
レンディング(貸して増やす)
価格が安定しているため、利息がそのまま実質リターンになりやすいのがステーブルコインレンディングの強み。
ステーブルコインをレンディングサービスに預けて利息を得る活用法。BTCやETHのレンディングと異なり、貸している間に暗号資産の価格が大きく動かないのが最大のメリット。
BTCレンディングの場合、「年率8%の利息がついたけど、BTC自体が20%値下がりして実質マイナス」という状況も起こりえますが、ステーブルコインなら価格が安定しているため、利息がそのまま実質的なリターンになりやすいと考えられます。
カード決済で日常の買い物
Visa加盟店でステーブルコインを使った決済が実現しつつある。
ステーブルコインの新しい使い方として注目されているのが、Visa等の国際ブランドカードを通じた日常決済。ウォレットに入っているステーブルコイン(USDC等)を担保に、コンビニやネット通販など普通のお店で買い物ができるサービスが登場しつつあります。
たとえば、Slash Vision Labsが開発中のSlash Cardは、USDCの残高でVisa加盟店での決済を可能にする仕組み。お店には通常通り日本円が振り込まれるため、店舗側は暗号資産だと意識する必要がありません。
※Slash Cardは2025年現在クローズドβ版の段階であり、一般提供はまだ開始されていません。将来的にレンディングの運用益をそのままカード決済に使える仕組みも構想されていますが、現時点ではレンディングとカード決済は別々のサービスです。
ステーブルコインの使い道はトレードの避難先・国際送金・レンディング・カード決済の4つが主要。特にレンディングでは年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスもあり、価格変動リスクを抑えたい人にとって注目の選択肢。
日本でステーブルコインを買う方法
国内で取り扱いのある取引所一覧
2026年4月時点で、日本国内の主要取引所におけるステーブルコインの取り扱い状況は以下の通りです。
| 取引所 | DAI | USDC | ZPG | 登録番号 |
|---|---|---|---|---|
| SBI VCトレード | — | ○ | ○ | 関東財務局長 第00011号 |
| Coincheck | ○ | — | — | 関東財務局長 第00014号 |
| bitbank | ○ | — | — | 関東財務局長 第00004号 |
| bitFlyer | ○ | — | ○ | 関東財務局長 第00003号 |
※USDTは2026年4月時点で国内取引所での直接取り扱いが限定的です。USDTを入手するには海外取引所を利用する方法がありますが、日本居住者の海外取引所利用は規制の観点からリスクがあります。国内で入手しやすいDAIやUSDCから始めるのが現実的です。
購入の手順(3ステップ)
- 1 取引所の口座を開設する:メールアドレスと本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)を用意。最短即日で開設できる取引所もある
- 2 日本円を入金する:銀行振込やコンビニ入金で取引所に日本円を入金。手数料無料の取引所を選ぶとコストを抑えられる
- 3 ステーブルコインを購入する:取引所の販売所または取引所画面でDAI・USDCなどを購入。少額から始められる
ステーブルコインの将来性
市場規模の成長
6年で15倍超に拡大し、約3,100億ドルの規模に。2025年の取引高はVisa・PayPalに匹敵。
ステーブルコインの市場規模は急速に拡大しています。2020年には約200億ドルだった時価総額が、2026年には約3,100億ドルを突破。わずか6年で15倍以上に拡大しました。
2025年の年間取引高は約33兆ドル(前年比72%増)に達し、決済に限っても約9兆ドルとVisa・PayPalに匹敵する規模に成長。
- DeFi(分散型金融)の普及:ステーブルコインは流動性供給・レンディングの基軸
- 国際送金需要の増加:特に新興国でのP2P送金が急拡大
- 機関投資家の参入:BlackRock・Fidelity等がステーブルコイン関連に投資
日本の法整備(電子決済手段としての位置づけ)
改正資金決済法でステーブルコインが「電子決済手段」に。3大メガバンク共同のPoC(実証実験)も始動。
日本では2023年の改正資金決済法でステーブルコインが「電子決済手段」として正式に位置づけられました。2025年10月にはJPYCが初の規制準拠ステーブルコインとして発行を開始しています。
さらに2025年11月には、金融庁が3大メガバンク共同のステーブルコイン発行PoC(実証実験)を支援対象に選定。三菱UFJ信託銀行が発行体となり、三菱商事との国際決済テストが計画されるなど、大手金融機関の参入も始まっています。銀行や信託会社がステーブルコインを発行・管理できる法的枠組みが整ったことで、今後は国内決済インフラとしての本格普及が期待されます。
AIエージェント × 決済の未来
AIが自動で決済まで行う「Agentic Payment」の基盤として、価格安定のステーブルコインが理想的。
さらに先の将来を見据えると、AIエージェントがステーブルコインを使って自動的に決済を行う世界が近づいています。
Agentic Payment 用語解説 AIエージェントが人間の代わりに商品の比較・選択・決済を自動で行う次世代の決済の仕組み。OpenAI+Stripe、Google、Visa等の大手が開発中。 と呼ばれるこの概念では、たとえば「来週の出張のホテルを予約して」とAIに頼むだけで、予算・好み・日程を考慮して予約から支払いまで自動で完了してくれます。
OpenAI + Stripe、Google、Visa / Mastercardなど世界の大手企業がこの分野に参入しており、2030年には1兆ドル規模の市場になるとの予測もあります。ステーブルコインは価格が安定しているため、AIが自動で扱う決済手段として理想的な存在です。
- ステーブルコイン市場は6年で15倍超に成長し、約3,100億ドルの規模
- 日本では「電子決済手段」として法整備が進行。JPYCが初承認
- AIエージェントによる自動決済の手段として、将来性はさらに広がる
よくある質問
ステーブルコインは儲かるの?
ステーブルコイン自体は1コイン≒1ドルで安定しているため、値上がり益は基本的に期待できません。しかし、年率8〜10%の貸借料が設定されているレンディングサービスもあります。ただしレンディングは預金保険の対象外で、サービス提供者の破綻リスクがある点は理解が必要です。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)との違いは?
CBDCは国の中央銀行が発行する「デジタル版の法定通貨」で、信用リスクがほぼありません。ステーブルコインは民間企業が発行する「法定通貨に連動した暗号資産」で、DeFi連携や国際送金など民間ならではの柔軟性がある点が違いです。
ステーブルコインは安全?
種類によってリスクが大きく異なります。法定通貨担保型(USDT・USDC)は準備金で裏付けられており比較的安定していますが、発行元の信頼性リスクは残ります。アルゴリズム型はTerra/LUNA崩壊で大きなリスクが証明されました。種類と発行元を確認した上で選ぶことが重要です。
まとめ
ステーブルコインは、暗号資産の便利さ(送金の速さ・低コスト・24時間取引)と価格の安定性を両立した存在です。
- ステーブルコイン=価格が安定するよう設計された暗号資産。米ドル連動型が主流
- 種類は4つ:法定通貨担保型(USDT/USDC)、暗号資産担保型(DAI)、アルゴリズム型、コモディティ型
- Terra/LUNA崩壊の教訓から、担保のある方式を選ぶことが重要
- USDT vs USDCは「流動性重視ならUSDT、透明性重視ならUSDC」で判断
- レンディングでは年率8〜10%の貸借料が設定されているサービスもある(預金保険対象外に注意)
- 日本では「電子決済手段」として法整備が進行中。今後の発展に期待
「暗号資産は値動きが激しくて怖い」と感じている人こそ、ステーブルコインから始めてみてはいかがでしょうか。価格変動のストレスを抑えつつ、レンディングでの運用や将来の決済活用まで、暗号資産の世界への入口として最適な選択肢です。
※本記事は2026年4月時点の情報に基づいて作成しています。暗号資産に関する法令・税制は変更される可能性があるため、最新の情報は金融庁・国税庁の公式サイトや各サービスの公式ページでご確認ください。具体的な税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。暗号資産投資は元本を失うリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。



